扌兆【タグホイヤー WBE5192.FC8300】単戈

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「ワタシたち」

「ボクたちや」

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「アタシたちも」

「旅立ちます!」

「旅立ちますっ!!!」

唱和とともに一斉に礼をする卒業生の退出にあわせて、壇上の膜いや幕は降りるだろうか。幕は降りなかったかも知れないが、在校生で作られる人の通路を通って旅立つ全国の卒業生の中に、私の子もいたのだ。

世界の狂乱で見失いそうな彼らの新しい希望や夢。

いや、もうすでに勢いをつけて高らかに飛翔し始めた若き情熱は見失われるべくもないが、私たち親の穏やかに見守りたい気持ちが、この騒乱によってグラグラと揺さぶられるようではあった、か。

先の長い人生の第一歩。

彼らの1日1日が、50を過ぎて感性も理性も鈍くなり始めた私たちの、千秋のようであることは十分に心に留めるべきではあるが、案外、親よりも彼らの方がもう既に、強くなっているのかも知れない。

そんな風に思い直してみれば、ゆっくりと酒に飲まれながら昔の事どもがぼんやりと楽しく思い浮かばれる。

子も、昔は小さかった。弱かったのだ。

幼少期、子たちを病院に連れていくのは、数少ない私の役割だったから、小児科にはよく連れて行ったが、同じ程度に耳鼻科にもよく通った。

上の子は、風邪を引くと中耳炎になる体質であった。

熱が出る。そのたびに小児科に連れて行って、その後、大抵、耳鼻科に直行した。

何をするか。

鼓膜を切って、膿を出すのである。

「ぎゃああああああ」

全身で暴れ凄い声で泣くのだ。

親と看護師数人で押さえつけるのである。

「こんなに、それほどに痛いのでしょうか?」

尋ねると

「すごく痛いですよ」

とのこと。

医者に聞いてからは、熱が出て耳鼻科に連れて行くたびに、心苦しい気持ちになったものである。

小学生高学年になるともう、彼が中耳炎になることはなくなったろうか。それでも、耳に関しては嫌な思い出は残ったのだろう、プールなどで耳に水が入ったその晩

「うわあ水が取れんんん」

と大いに気にするのだが、耳に水が入ったって、大丈夫なことを私は知っている。

私は学生の頃、割と真剣に水泳をしており、耳に水が入るのは日常茶飯事。

「触らなければバイキンは入らないし、いつかは乾いてなくなるし、耳と鼻は繋がっているし」

そう教わって知っていたのだが、それでも気になるなら例えば、陽のあたって熱せられたプールサイドのタイルに、水の入った方の耳をぴたりと付けて寝転べば

「ジュワ」

とか

「ブルルルン」

といった音というかこそばゆいというか、あの感触は何だろう。なんとも言われない心地良い感触とともに耳に入った水が流れ出る。

飛び込みをした後なども、頻繁に耳に水が入っていたように覚えているが、片足でけんけんをしながら水が入った方の耳を下に傾けるように振ると、大抵の場合はすんなり

「ジュワっ」

とか

「ブブルルルン」

という、耳に息を吹きかけられるようなほの熱い感触とともに流れ出る。

それでも出ない時は、逆に、み水が入ったその耳ずに水を掬って流し込むのである。できる限り大量の水が流し込まれたならば、もう少し奥へ行くように反対側へ振ったかと

「えぃっ!」

勢いをつけて、耳の入った水を、いや、水の入った耳を下側に振り抜くと

「お〜い、俺たちも連れてってくれ〜」

というように新しく入った水の後を追って

「ジュワっ」

とか

「ブブルルルン」

というようなキモこそばゆい感触とともに耳の奥から古参の水もミミズも流れ出るとすると

「どうなると思う?」

「知るかよ!」

以下より、つづき。いよいよ最終回!

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TAG HEUER AUTAVIA

SPECIAL EDITION

タグホイヤー オータヴィア

スペシャルエディション

WBE5192.FC8300

415,000円+税

主なスペック

  • ケース材質:ブロンズ
  • 裏蓋:グレード2チタン
  • ストラップ材質:レザー
  • ガラス材質:サファイア
  • ケースサイズ:42mm
  • 厚さ:13.53mm
  • カン幅:21.00mm
  • 駆動方式:自動巻きキャリバー5(cosc)
  • 100m防水
TAG HEUER AUTAVIA SPECIAL EDITION タグホイヤー オータヴィア スペシャルエディション WBE5192.FC8300
WBE5192.FC8300

とうとう来ました。

オータヴィア

スペシャルエディション。

どこが?

ここや!
こんな感じが!

お分かりいただけただろうか。

こちら、タグホイヤー オータヴィア スペシャルエディションWBE5192.FC8300は何と

どひゃああ
渋〜いぃぃぃぃ

ケースがブロンズ製なのです。

はっ?

いや、ブロンズ製と言ってみたものの、実際、ブロンズがどのようなものか自分でもわかっていなかったので確認しますと、要するに銅の合金で、主に

ブロンズ

「錫(すず)」

を数%〜2、3割ほど含んでいるらしく、身近な物だと10円硬貨もブロンズらしい。

10円ぽいっす

ブロンズ:青銅の大きな特徴の一つに、大気中では徐々に酸化されて表面に炭酸塩を生じながら

「緑青」

にな(wikiより)り、年月とともにかなり色が変わっていくらしい。

経年変化

つまり皮革製品などと同じように、経年による製品の変化・味が楽しめるという何だろう、氵男の中の氵男ならどなたも、ワクワクするような仕様ではないですか。

ただ、もう革ジャンは無理

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文字盤と革バンドが赤というのもまた今どき珍しい組み合わせか。

ストラップ

赤いストラップは、青銅ケースと同様の経年変化をして、濃い色合いになっていくのも楽しいはず。

黒や茶色のストラップに変えても、ああああああ、いいなあ。

キャリバー5

キャリバー5のクロノメーター認定ムーブメント。スペシャルエディションならではの特別仕様です。

パティナ

さあ、それでは、いつものようにタグホイヤーHPの製品ディスクリプションを確認してみよう。

このブロンズ製オータヴィアは、COSC認定の自動巻ムーブメントで時を刻みながら、着用者の冒険を記録する常に変化し続けるパティナで独自の物語を語ります。

タグホイヤーHPより

ぱ、パンティじゃなくって?

惜しいっ、けど違います。

パティナとは酸化、経年によって緑青を生じる現象を意味する英語のようです。

転じて、革製品の経年変化も意味するらしい。

いつも馬鹿にしているタグホイヤーの説明ですが、まさに、この時計のための言葉ですねえ。

ナーリング加工

両方向に回転するベゼルの指掛かり、ナーリング加工もバッチリですし、ラグが実は、多面的なカットが入れられているのが、お分かりいただけるでしょうか。

こんなん、使っていくうちに色がついていくのって、あああああ、とってもロマンチックだがや!

グレード2

高品質グレード2のチタン製裏蓋なので、アレルギーの対策もバッチリ。

サイド

曲線を描くサイドの稜線が美しい。

サイドの面も、少しずつ色が変わっていくのでしょうか。

バックル

尾錠も青銅、ブロンズ製でございます。

最後。

じっくりサイドを見ていたい。

今後を想像しながら、お酒をちびりちびり嘗めたい時計って、そんなにないのでは。

あああああ、そんなタグホイヤーやあんなタグホイヤーが

「タグホイヤーフェア」

開催中の鳥取の中井脩にはたくさん展示されておりますので、ぜひご来店お待ちしています。

ですが、こちらのWBE5192.FC8300は、近々、お客様の手元に旅立つはず、残念。って言うか、バンザイ!

動画もどうぞ

youtu.be

TAG HEUER AUTAVIA

SPECIAL EDITION

タグホイヤー オータヴィア

スペシャルエディション

WBE5192.FC8300

415,000円+税

「聞いてる?」

肴や酒が一通り胃袋に収まってようやく、心地よいまどろみに包まれ始めたら、世の中のいろいろな事どもの渦巻きに、自分の周辺の出来事が巻き込まれるように脳裏に去来して

「いや、ゴメン」

いつのまにか白日夢を見るかのように、ぼおーっと友人Kの話を聞いていたのだが、その話は今、まさに佳境なのであった。

先日

『我々人類は鼻くそを貪(むさぼ)るのに、耳くそに挑戦しない理由』

というテーマにて、友人Kから送られてきたメールには、耳と鼻はつながっているため鼻くそと同様、耳くそを貪るのは人類にとって道理ではあるが、我々はまだ、そうしない。いや、その一歩を、私たちはどうしても踏み出せないのだという。

『しかしだ!』

彼はまさに、先日、人類初のその扉を開きそうになったらしい。その文章はこんな風に終わっていた。

『先日、我が目の前のティッシュの上の、大っきな物体を見て、新たなる未来に震えたのだ。そう、私の耳から半年ぶりにこぼれ落ちた大きな耳くそを見て!』

真っ赤に燃える朝日が立ち昇っていくような、希望溢れる文章。

その続きを今や遅しと待っても催促のメールをしても返事がないので、その日は諦め、しばらくしたある日、メッセージを送ると返事があった。その日、大上段から木刀を振り下ろすように勇ましい文章を締めくくった多幸感で彼は、失神するように眠りに落ちてしまったらしい。

私としては、その後、Kが耳くそを貪り頂いたのかどうかが気になるではないか。

というわけで、今こうして、Kと二人、割烹『牛海』でしっぽりと、美味しい酒肴とともに事の顛末を頂こうとしていたところ、上記のように、いつの間にか夢、幻を追っていた私はぶるんと頭を振って、今、改めてKの話を思い起こすと、小学生の頃に

「不器用な」

母親の耳かきがトラウマとなって、中学生以降、耳かきをしたことがないという、あまりにも現実離れしていたため

「ホントかよ」

私を夢の世界へいざなった話は以下のように続いたのだ。

Kが中学生の時だった。

周囲の声が聞きにくいことに、ふと気づいたらしい少年Kは、その話をすれば耳鼻科に行かなければならないだろう。トラウマで、耳を触られたりすることに極度な恐怖心を抱くようになっていたため、そのことを誰にも言わずにいたそんなある日

「ガサガサ」

頭を振ると、耳の中から

「ボソボソ」

奇妙な音が聞こえるものの、自分でさえ耳を触りたくない。何とか触らずに原因を取り除く方法はないかと、音の聞こえる方の耳を下に、ちょうど、耳に入った水を出すようにトントンと片足で飛んだところ

「ボソボソゴゴゴゴ」

耳の中で行ったり来たりと音はどんどん大きくなってついに

「ボボゴロ、ゴロンっ」

耳から飛び出したのは、白っ茶色くてガサガサとした大きな大きな耳くそだったのだ。

「おーい」

何だか、そんな声を掛けてみたくなるほどに大きな耳くそだったらしい。

「その時の、快感が凄いんだわ」

耳から耳くそがこぼれ落ちる快感に目覚めたK。いつの間にか耳が聞こえづらくなっていることに気づいたその日に覚える、待望感。

ああああ、やっと来る。今回はかなり長くて半年も待ったが

「来るのだよ、間違いなく生きている限りこの日はきっと」

その日から脳裏に響くカウントダウンの音は、時計の秒針のそれではなく

「ゴゾゴゾゴロン、ゴゾゴゾゴロン」

大切なこの耳くそが行ったり来たりしながら、日一日と成長していく音こそが、生きている証。そんな血潮を感じて過ごすある日突然、耳の中に起こった変化を逃すな

「それっ」

急いでテッシュを用意して頭を何度か振ると

「ボゾボゾゴロ、ゴロンっ」

飛び出した耳くそに

「ほぉーい」

小さく声を掛けて今までは捨てていた。ティッシュにくるんで捨てていた。

あの日、幼き私いやボクの目の前に飛び出した塊。夕日が赤く差し込む自室のデスクに、ティッシュの上で輝いてたあの塊。

何時間も見とれていたろうか。

「食おう」

そう思った瞬間は何度もあったけど、ボクにはとっても大きすぎたんだ。ああああの夕日に輝く思い出の耳くそは。

でもこうして今、50を超えたボクならば、酸いも甘いも噛み分けてきたボクならば、ああああ、イケる。母さん、ありがとう。貴女のおかげです。人類初の一歩をこうして踏み出すことができるのは。

耳くそを今こうして、ついに!

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長かったふぅーっ

卒業エントリーはこちら!

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