ご高齢のお客さまに愛されるショッピングセンターにテナント入店している「中井脩トスク店」というお店は、買い物ついでに通りすがりで入りやすいという便で時計の電池交換などの点数はかなり多い。しかるに様々な方がいらっしゃる。
例えば、いつも大きな声で「こんにちは~」と挨拶をされるその方(A氏)は、だいたい2週間に一回程度の割合でご来店される。年中、真っ黒に日焼けされていて、輝くような笑顔とその時に深く刻まれる笑い皺が特徴的な初老の男性だ。
「すんませんが、時間を合わせてもらえんかな?」
腕時計の時間合わせは、一般の方には難しい場合があり
特にその方の持っていらっしゃるようなデジタルの時計は難しいはずだ。前回、時間合わせしてから2週間程度しか経っていないのだから1分ほどの狂いもないのだが、もちろん、快く承る。
「お待たせいたしました」
時間を合わせて時計をちょこっとクリーニングしてお渡しする。
そして、ここから毎回行われる儀式に移行していく。
「おいくらかな?」
毎回必ず律儀に確認されるA氏の低姿勢には感服せずにはいられないものの、試みに「では今回は2000円で」などとその律儀さの度合いを確認するようなチャレンジをしてはいけない。
「いえ、サービスでございます」
素直にこう答えると、A氏はいつも
「ええーっ!」
と驚かれるのである。びっくりするのだ。その表情を形容するには「吃驚」という漢字がまさに適切だ。
A氏のそんな驚愕振りにはもう慣れている私は笑顔でうなずきながら、次に来る質問に心の中で答えている。
「この時計の電池は何年もつのかな?」
「2年くらいです」
「ええーっ!」
「時計の使用年数にもよりますが、大体、そのくらいです」
「ならば、電池交換はおいくらかな?」
「1320円でございます」
「ええーっ!」
私の返事のたびにA氏は驚きの声を上げる。当初はこうした会話を対面で行なっていたのだが、お互いそれでは疲れるし、最近は慣れてきたということもあるのだろう、あっちに行ったりこっちに行ったりするA氏に付き纏わないようなスタンスで説明して回るというスタイルに移行している。
ディスプレイケースに入った時計を眺めて指差し、
「この時計は電池かな」
「そちらは光発電でございます」
「ええーっ!」
店頭のメガネをかけて、遠くに目をやり
「このメガネはあまり見えんね」
「そのメガネには本物のレンズは入っておりません」
「ええーっ!」
そんな感じで店内を二人仲良く一通り確認して回り、最終的には時間合わせの必要がない電波時計に辿り着く。A氏の目当てはこれである。
「この電波時計はいいなあ」
「1秒も、狂わないんです」
「ええーっ!」
「しかも光発電です」
「ええーっ!」
「電池交換不要なのです」
「ええーっ!」
畳み掛ける。幾度も繰り返した会話だが、A氏の驚きはいつも、いつにも増して新鮮だ。これこそ究極のセールスパーソンならぬ究極のバイヤー。日の丸日本のバイイングパワーを支えてきた一人かも知れない。がそんなある時
「お値段は22,000円でございます」
お気に入りの時計の値段を答えたら
「えっ!」
という短くて小さな声を発した。
いつもの笑い皺が掻き消えて、眉間に真っ黒な溝が刻まれている。
そうだ、しまった。
昨年の11月にご来店されたときの一幕だが、消費税が10%になったため販売価格が変わったのだ。瞬時に弁解する。
「消費税が増税になったため、22,000円になってしまいました」
元の笑顔に戻ったA氏はもちろん驚く。
「ええーっ!」
「すみません、もっと早くご案内していれば・・・」
「ええーっ!」
いや、もういいよ。消費税くらい知っているだろう普通。
とは思わない。こうしたやり取りの一つずつが、トスク店での、私とA氏の絆なのだから。
CASIO G-SHOCK
GG-B100BTN-1AJR
BURTON コラボレーション限定
52,000円+税
主なスペック
20気圧防水
耐衝撃性
高度・温度・方位計測機能
スノーボードブランド、BURTONとのコラボレーション限定です。
私の幼稚園からの友達でブートンというあだ名の人がいますが、それとは無関係。
以前にも掲載したカーボンコアガード
のため、ボタンがもっこりと突き出ていても、G-SHOCKの耐衝撃性は担保されている。
G-SHOCKで52,000円という価格は高めではあるが、デジタルとアナログ表示に、秒針つき。さらに気圧、気温、方位などのトリプルセンサー、ブルーツゥースとの連携機能を考えればコストパフォーマンは高いのではないか。
裏蓋にはいわくつきのシリアル番号がある。これは、固有のものではなく、単純にデザインらしい。まあ、でも格好いい。
私は学生の頃アイスホッケーをしていたのだが、ストップなどは同じ原理なのでスノーボードも割と苦労せず遊べた記憶はある。が、調子に乗ってでっかいジャンプを飛んで着地に失敗して、右膝の十字靭帯を一本切ってしまった。半年ほど我慢したら治ったが、今頃になって、激しい運動をすると膝が痛くなるので、困ったもんです。
CASIO G-SHOCK
GG-B100BTN-1AJR
BURTON コラボレーション限定
52,000円+税
主なスペック
20気圧防水
耐衝撃性
高度・温度・方位計測機能
以前、トスク店で売出のチラシを入れて電池交換半額を謳ったところ、10時間余りで750個点の電池交換があって腰が抜けた。1時間に75個、1分で一個の電池交換は、二人でかかっても大変なのに加えて、時計の革バンド割引なども同時に謳ったため、時計が山のように積まれることになる。ただ、そんな中で、お待ちの間にメガネのお手入れをしたら、じゃあ新しいのをついでにということでご購入いただくこともあり、嬉しい悲鳴というのを実感できた瞬間でもあった。
私は一応、トスク店の責任者的な立場であり、といっても誰もやりたがらないからそんな感じになっているわけで、以前、そのお店で勤務中、倒れてしまった従業員がいて、その人は当時は長期間の入院こそしたものの幸いにも無事に後遺症もなく退院、さらに定年を迎えて現在も引き続き働いていただいているのだけど、もし、あのとき、大変なことになっていたら。
もう、そういうことがあってはいけない。会社はお客様のため、社員のためなどと綺麗事を並べたって、働いている現場で社員が倒れてしまうような会社はサイテーだ。
当時、そんな風にショックを受けた私は出来る限り、毎日、そのお店に顔を出して、きちんと休憩をとっているかどうかチェックをして、夏には水分補給を促し冬は寒ければ夜なべをして手袋こそ編まないが、トスク店の社員の健康管理はかなり意識している。
そんな「中井脩トスク店」も先日、4月26日(日)に20年に渡る長き歴史に膜を下ろした。いや、膜はこじ開ける場合が多く下ろすのは幕だが、まだ、幕は下ろさない。新コロの感染防止のため、臨時休業することとなった。残念だ。
再開の時期は、新コロの状況次第であり、こればっかりは如何ともし難い。とにかく耐えて、終息を待つばかりである。
トスク店頭の商品などをしまって休業の準備が終わり、最後に店舗にセキュリティネットを貼って用意した臨時休業の告知POPを掲げる。
「しばらくの間・・・」
「延長する場合も・・・」
という文言が目に入りため息が出そうになるが、思い出す。そうだ。このPOPを見て、驚いてくれる人が一人、必ずいるのだ。
「ええーっ!」
再開したときにはいつもと変わらぬ私たちでいられるように準備をしておかなければならない。まだまだ、負けませんよ!
上記ショッピングセンターでの奮闘記
♫孤独な【カンパノラ AG6251-06W】心に〜♫ 当社の支店がテナント入店している鳥取の老舗ショッピングセンター(以下、当SC)はかなり顧客の年齢層が高いから、しっとりと落ち着いたショッピングセンターかと思...ホントにしちゃいました。
閉店します【G-SHOCK GA-2100】「ええーっ!」 ブログでも何度か取り上げてきた当社の支店、鳥取の静かなショッピングモール(以下、SC) この不幸な家族が向かう先が、こちらのSCでございまして https://siunakai.co...
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